鉄道省キハ41000形ガソリン動車


概要

 キハ41000形ガソリン動車は、昭和8年(1933年)に36両が製造されたキハ36900形ガソリン動車を、昭和8年度に制定された気動車向けの車両称号体系に基づいて改称した形式です。昭和8年(1933年)12月から昭和11年(1936年)11月までにさらに102両が製造され、総勢138両となりました。ほとんどの部品を国産とし、連結運転を考慮しない設計で台枠などの軽量化を図り、単行運転を基本とした出力100馬力のガソリンエンジンを搭載した機械式の気動車でした。
 「機械式」というのは、マニュアルミッションを搭載した車のように、クラッチペダルやギアレバーを運転士が操作して直接機械的に切り替えて変速していく方式のことで、前進が1速から4速、後進が1速となっていました。これは、後年の液体式変速機を使って、オートマチックミッションを搭載した車のように、自動的に変速していく方式とは根本的に異なる構造でした。機械式の変速機では2両以上の編成を組んだ場合に編成中の機関を一斉に制御する総括制御ができないため、事実上単行運転を行うか、2両編成を組んだ場合に2両目はトレーラーとするかという運用を迫られました。中には、2両目にも運転士が乗務し、タイフォンを使って変速のタイミングを合わせて運行する場合もあったようですが、例外的なものだったと思われます。

 車体の全長は、約16.2メートル。車内は2扉セミクロスシートで、4人掛けのボックス席が車両中央部に10区画(中央の通路を挟んで両側に5区画ずつ)配置され、車端部はロングシートとなっていました。搭載するエンジンは国産のGMF13形という出力100馬力のガソリンエンジンです。台車はTR26形。定員は、座席定員62人、立席定員47人の109人でした。外国製のエンジンであればもっと出力が大きいものも存在したようですが、鉄道省は保守で有利となる国産エンジンの採用にこだわったのでした。

 また、昭和10年(1935年)には、エンジンをディーゼル機関に変更した試作車がキハ41500番代として2両試作されています。この2両には別々のディーゼルエンジンが搭載されていました。しかし、戦争が始まった影響で軽油が入手難となり、ディーゼル機関の研究を続けることができなくなってしまいました。

 本形式のその後の変遷は様々です。本形式のまま戦災廃車や早期に廃車されて私鉄に譲渡された車両、エンジンを天然ガス機関に載せ替えてキハ41200形天然ガス動車となったもの、エンジンをディーゼル機関に載せ替えてキハ41500形気動車となったもの(73両)、エンジンを撤去されて付随車となり、のちにキサハ41800形付随車となったものなどがあります。昭和32年(1957年)に、搭載しているエンジンの種類などに応じてキハ04形気動車、キハ05形気動車、キサハ04形付随車に改称されました。


車両一覧

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車号製造年処置
キハ410001933
キハ410011933
キハ410021933
キハ410031933
キハ410041933
キハ410051933
キハ410061933
キハ410071933
キハ410081933
キハ410091933
キハ4101019331951年キハ41534に改造
キハ4101119331949年戦災廃車
キハ410121933
キハ410131933
キハ410141933
キハ410151933
キハ410161933
キハ410171933
キハ410181933
キハ410191933
キハ410201933
キハ410211933
キハ410221933
キハ410231933
キハ410241933
キハ410251933
キハ410261933
キハ410271933
キハ410281933
キハ410291933
キハ410301933
キハ410311933
キハ410321933
キハ410331933
キハ410341933
キハ410351933
キハ410361934
キハ410371934
キハ410381934
キハ410391934
キハ410401934
キハ410411934
キハ410421934
キハ410431933
キハ410441933
キハ410451933
キハ410461933
キハ410471933
キハ410481933
キハ410491933
キハ410501933
キハ410511934
キハ410521934
キハ410531934
キハ410541934
キハ410551934
キハ410561934
キハ410571934
キハ410581934
キハ410591934
キハ410601934
キハ410611934
キハ410621934
キハ410631934
キハ410641934
キハ410651934
キハ410661934
キハ410671934
キハ410681934
キハ410691934
キハ410701934
キハ410711934
キハ410721934
キハ410731934
キハ410741934
キハ410751934
キハ410761934
キハ410771934
キハ410781934
キハ410791934
キハ410801934
キハ410811934
キハ410821934
キハ410831934
キハ410841934
キハ410851934
キハ410861934
キハ410871934
キハ410881934
キハ410891934
キハ410901934
キハ410911934
キハ410921934
キハ410931934
キハ410941934
キハ410951934
キハ410961934
キハ410971934
キハ410981935
キハ410991935
キハ411001935
キハ411011935
キハ411021935
キハ411031935
キハ411041935
キハ411051935
キハ411061935
キハ411071935
キハ411081935
キハ411091935
キハ411101935
キハ411111935
キハ411121935
キハ411131935
キハ411141935
キハ411151935
キハ411161935
キハ411171935
キハ411181935
キハ411191935
キハ411201935
キハ411211935
キハ411221935
キハ411231935
キハ411241935
キハ411251935
キハ411261935
キハ411271935
キハ411281935
キハ411291935
キハ411301935
キハ411311935
キハ411321936
キハ411331936
キハ411341936
キハ411351936
キハ411361936
キハ411371936
キハ415001935
キハ415011935

参考文献
  • 岡田誠一(1999):キハ41000とその一族<上><下>,NEKO PUBLISHING.
  • 鉄道ピクトリアル,鉄道図書刊行会.