官設鉄道Ａ形蒸気機関車

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概要

　官設鉄道Ａ形蒸気機関車は、明治5年（1872年）の新橋－横濱間鉄道開業用に注文された10両の蒸気機関車のうちの1両で、イギリスのヨークシャー・エンジン（Yorkshire Engine）社で製造されたタンク式の機関車です。日本への輸入後は10号機関車として活躍していましたが、明治8年（1875年）に官設鉄道の機関車の車番を東部地区は奇数番号、西部地区は偶数番号に変更された際、3号機関車に改番されていました。そして明治27年（1894年）、当時の官設鉄道である逓信省鉄道局が機関車を車両形式によって分類・管理するようになった際に「Ａ形」とされたのが本形式でした。のちの鉄道院110形蒸気機関車にあたります。

　外観は、前半分が官設鉄道Ｆ形機関車、後ろ半分がＥ形機関車のような形状で、先輪が１軸に動輪が２軸の「１Ｂ形」の軸配置。動輪の直径1245ミリメートル、石炭を0.76トン搭載し、水タンク容量は2.04キロリットルで、鉄道開業用に輸入された10両の中では一番小さい機関車でした。
　明治20年代には本形式より性能が高く大きな機関車でも先輪の無いＢ形機関車として製造されるようになりました（九州鉄道4形（のちの鉄道院10形蒸気機関車）や讃岐鉄道Ａ1形（のちの鉄道院60形蒸気機関車））ので、輸入から20年以上が経過して本形式となったころには性能が陳腐化し始めていた可能性があります。

　明治31年（1898年）に機関車の形態と性能による形式に分類しなおされた際はＡ2形とされ、Ａ2形3号機関車となりました。

　その後も大正13年（1924年）まで官設鉄道で使われた後、永く大宮工場で保存されていましたが、昭和37年（1962年）から青梅鉄道公園で静態保存され、令和2年（2020年）1月23日にＪＲ東日本グループのＪＲ桜木町ビル内に移設して展示されています。鉄道記念物。

3号機関車時代(国鉄80年記念写真集、車両の80年 P.4より)