官設鉄道Ｅ形蒸気機関車
概要
官設鉄道Ｅ形機関車は、明治4年（1871年）にイギリスのVulcan Foundry（ヴァルカン・ファウンドリー）社で1両が製造されて官設鉄道が輸入したタンク式蒸気機関車です。明治27年（1894年）に官設鉄道（当時は逓信省鉄道局）が車両を形式によって分類・管理するようになった際に「Ｅ形蒸気機関車」とされたもので、1両のみの形式となっています。
もともとは新橋－横浜間の鉄道建設とその開業に備えるために日本に輸入された蒸気機関車です。新橋－横浜間の鉄道開業のために10両の蒸気機関車がイギリスに注文されていましたが、当時は「車両形式」という概念は無かったと思われ、本機が最初に到着したということで「1号蒸気機関車」という番号が与えられ、Ｅ形とされてからも車号は1号機関車のまま変更されませんでした。
軸配置は「１Ｂ形」。すなわち、まず先輪が1軸あって、その次に2軸の動輪配置された形態です。本機は、石炭を燃やしてボイラーで作った蒸気をそのまま使う「飽和式」と呼ばれる（蒸気をさらに熱する「過熱式」という方式がのちに出現しますがこの時代の蒸気機関車はすべて「飽和式」でした）方式の機関車でもあります。動輪直径1321ミリメートル、水タンク容量2.05キロリットル、石炭積載量は0.51トンでした。
なお、Ｅ形蒸気機関車となるまでには車体を大幅に改造されていて、輸入当時とは大きく異なる外観に改造されていました（改造年不明）。
明治31年（1898年）に再度改番が実施されて「Ａ1形蒸気機関車」となり、この際も車番は「1号機関車」のまま変わりませんでしたが、多くの私設鉄道の国有化を経て鉄道車両の車番を抜本的に整理する改番が行われた明治42年（1909年）に「鉄道院150形蒸気機関車」となり、150号機関車となりました。
なお、本機は昭和33年（1958年）に鉄道記念物に指定され、現在も東日本鉄道文化財団が運営する鉄道博物館に静態保存されています。
(国鉄80年記念写真集、車両の80年 P6より)