官設鉄道2500形蒸気機関車


概要

 官設鉄道2500形蒸気機関車は、鉄道院時代の明治42年(1909年)10月1日から日本国有鉄道時代まで存在した官設鉄道のタンク式蒸気機関車です。動輪直径1250ミリメートルでC1形の軸配置を持つアメリカ・Baldwin(ボールドウィン)社製の蒸気機関車でした。
 それ以前の逓信省鉄道作業局時代にはB6形蒸気機関車とされていた機関車の一部ですが、一部とはいっても166両に及びました。
 もともとは、明治37年(1904年)から始まった日露戦争で旧日本陸軍が満州で使用するためにアメリカのボールドウィン社に発注した機関車ですが、日露戦争が早期に集結したため結局使われなかったものも含めて明治39年(1906年)から明治41年(1908年)ごろにかけて続々と内地に送り返されて官設鉄道に移管されて官設鉄道B6形蒸気機関車に編入されていました。
 また、これとは別に同形の機関車2両を関西鉄道が輸入して「雷形蒸気機関車」の105号、106号機関車として運用しており、明治39年(1906年)に国有化されていました。こちらは国有化後もB6形蒸気機関車には編入されずにいました。

 逓信省鉄道作業局は、明治41年(1908年)に内閣鉄道院(いわゆる鉄道院)に改編されます。鉄道院は明治39年(1906年)から進んでいた主要私鉄の国有化に伴って各社の雑多な形式を引き継いでいた機関車の形式を整理するために明治42年(1909年)に車両称号規程を定めます。これによって、B6形に属していた機関車群のうち、アメリカ製のものと、関西鉄道から継承した2両が官設鉄道2500形蒸気機関車に指定され、全車両が新しい番号(2500形2500号~2667号)に改番されて総勢168両の形式となりました。

主要諸元

  • 重量:51.23トン(運転時)、38.19トン(空車時)
  • 動輪直径:1250ミリメートル
  • 軸配置:C1形
  • 軸重:第1動輪13.83トン、第2動輪14.21トン、第3動輪13.74
  • トン、従輪9.45トン
  • 水タンク容量:7.8キロリットル(両側タンク各2.2キロリットル、後部3.4キロリットル)
  • 石炭積載量:1.9トン(後部水タンクの上に積載)
  • 出力:424馬力~445馬力
  • 牽引重量:時速32.2kmの時、10‰勾配で315トン、25‰勾配で155トン


官設鉄道2500形蒸気機関車。(国鉄80年記念写真集、車両の80年 P.31より)

車歴一覧

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配置一覧

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参考文献
  • 今村 潔(1967):B6形機関車の車歴と配置,鉄道ピクトリアル,No.195,1967年4月,PP.31-35,鉄道図書刊行会.
  • 臼井茂信(1956):国鉄蒸気機関車小史,鉄道図書刊行会,PP.47-50.
  • 沖田祐作(2013):機関車表.
  • 金田茂裕(1967):B6に関するノート,鉄道ピクトリアル,No.195,1967年4月,PP.19-30,鉄道図書刊行会.
  • 日本国有鉄道工作局(1952):国鉄80年記念写真集 車両の80年,交通博物館,P.30.