官設鉄道150号形蒸気機関車は、明治23年(1890年)~明治26年(1893年)の間にアメリカのBaldwin(ボールドウィン)社で6両が製造されて、官設鉄道(明治23年当時は内務省鉄道庁)が輸入したテンダ式の蒸気機関車です。官設鉄道としては初めてのアメリカ製の蒸気機関車でした。
明治23年には2両が輸入され、150号機、152号機と附番されて東部地区(東海道線御殿場区間又は信越線)に配置されたと見られています。この当時はまだ車両形式という考え方がありませんでしたので、ここでは便宜的に「150号形蒸気機関車」としています。輸入当初は、アメリカ製の北海道炭礦鉄道ロ形蒸気機関車と同じような外観で、アメリカ製機関車の特徴でもあるカウキャッチャーも装備されていましたが、このカウキャッチャーはのちに撤去されています。
明治23年当時としてはかなり大型の機関車で、明治26年に増備される4両(222号機~225号機)と合わせて官設鉄道の勾配線を中心に運用されました。総勢6両。
軸配置は「1C形」。すなわち、先輪が1軸配置された後に動輪が3軸続く形態です。動輪の大きさは直径1219ミリメートル、シリンダ圧力9.8kg/cm2、石炭積載量は3.05トン、水タンク容量は8.8キロリットルでした。
明治27年(1894年)に官設鉄道が機関車を車両形式によって分類・管理するようになった際にX形とされ、車番も101号機、103号機、138号機~141号機に改番されています。のちの鉄道院8150形蒸気機関車にあたる形式です。
官設鉄道141号機関車時代(国鉄80年記念写真集、車両の80年 P75より)