官設鉄道13号形蒸気機関車(2代目)


概要

 官設鉄道13号形機関車(2代目)は、明治4年(1871年)と明治7年(1874年)にイギリスのシャープ・スチュワート(Sharp Stewart)社で合計6両が製造された蒸気機関車です。そのうち4両は明治5年の新橋-横濱間の鉄道開業に備えて輸入され、明治7年に2両が増備されました。この時点では、2号~5号機関車と22号、23号機関車となっていましたが、明治8年(1875年)に官設鉄道の東部地区の機関車を奇数番号に、西部地区の機関車を偶数番号に変更するという改番が実施されて、元の番号順にそれぞれ17号、19号、15号、13号、21号、23号機関車となりました(23号機関車だけは番号が変わりませんでした)。当時は形式という概念が無かったようですので、便宜上「13号形蒸気機関車(2代目)」としています。総勢6両。のちの鉄道院160形蒸気機関車にあたります。

 形態や性能は、一足先に輸入された1号機関車とほぼ同じですが、1号機関車と比べると運転台がやや大きく、蒸気溜め用のドームがほとんど見えない形状でした。軸配置は、先輪1軸に動輪が2軸の「1B形」。動輪直径は1号機関車より少し大きい1346ミリメートルで、石炭0.76トンと、水2.27キロリットルを搭載できました。

 明治16年(1883年)には、13号、15号、17号、19号機関車の4両が日本鉄道に貸し出されて、現在の高崎線や東北本線、山手線などの建設工事に使用されました。これらの機関車は明治18年(1885年)から明治19年(1886年)ごろにかけて官設鉄道に返却されて、再度官設鉄道に6両が揃うことになります。そして、明治27年(1894年)に官設鉄道の機関車を形式で区分するようになった際に、B形という形式が与えられて、それぞれB形13号、15号、17号、19号、21号、23号機関車となりました。

 明治7年に増備された2両のうちの1両(23号機関車)は尾西鉄道から名古屋鉄道を経て、現在でも明治村で尾西鉄道・名古屋鉄道時代の車番である「蒸気機関車12号」として動態保存されています。客車も明治時代のものを牽引し、明治時代の鉄道列車の趣を見て取ることができます。車齢150年(2024年時点)で、保存活動に関係されている方々のご尽力の賜物だといえます。


開業当時の新橋駅にて(国鉄80年記念写真集、車両の80年 P7より)

車両一覧

 車号をクリックすると各車の車歴を確認できます。

  • 13号→B形13号→160形160号→島原鉄道2号→島原鉄道28号→廃車
  • 15号→B形15号→160形161号→島原鉄道3号→温泉鉄道3号→雲仙鉄道3号→雲仙鉄道24号→廃車
  • 17号→B形17号→160形162号→島原鉄道4号→島原鉄道3号→島原鉄道27号→廃車
  • 19号→B形19号→160形163号→島原鉄道5号→東肥鉄道番号不明→九州肥筑鉄道3号→廃車
  • 21号→B形21号→160形164号→尾西鉄道11号→廃車
  • 23号→B形23号→160形165号→尾西鉄道12号→名古屋鉄道12号→廃車→動態保存

参考文献
  • いのうえ・こーいち(2014):図説国鉄蒸気機関車全史,2014年,JTBパブリッシング.
  • 臼井茂信(1956):国鉄蒸気機関車小史,鉄道図書刊行会,P.8.
  • 沖田祐作(2013):機関車表.