京浜電気鉄道デ11形電車


概要

 京浜電気鉄道デ11形電車は、京浜急行電鉄の前身にあたる京浜電気鉄道が製造したボギー式電車です。当初はデ1形電車として明治38年(1905年)に3両(11号~15号)が天野工場で新製されました。この際の形態はデ1形電車と同じものでしたが、大正13年(1924年)にデ1形11号~13号車の3両が前面5枚窓で片側3扉の車体に更新された際に新形式デ11形となり、デ11形11号~13号とされたものです。

 形態はモニター屋根の木造ボギー式車体で、前面は半円形の形状をした5枚窓、乗降口は片側3ドアで外吊りドアが採用されました。台車はペクハム14B3、電動機は50馬力(37キロワット)のものを4基搭載していましたが、時期は不明ですが台車はブリルGE-2形に交換されています。直接制御方式ですので、単行運転が基本の運用形態でした。

 昭和8年(1933年)に浦賀までの湘南電気鉄道(のち京浜電気鉄道と合併)との直通運転が開始された際に電装解除して制御車となり、ク11形11号~13号として活躍していましたが、昭和17年(1942年)、京浜電気鉄道が合併により東京急行電鉄となった際に東京急行電鉄クハ5200形5201号~5203号となりました。その後、昭和23年(1948年)に3両とも福井鉄道に譲渡されて出力50キロワットの電動機2基を装備して福井鉄道モハ101~モハ103となったあと、昭和29年(1954年)に台車をボールドウィン78-25-Aに交換し、外吊り式だった乗降口ドアを通常の内吊り式に改造されています。
 廃車は昭和38年(1963年)からで、まずモハ103が同年9月に廃車されました。次いでモハ101が翌昭和39年(1964年)5月、モハ102も昭和39年(1964年)8月に廃車されました。

車両一覧

 車号をクリックすると各車の車歴を確認できます。

  • 京浜電気鉄道デ1形デ11→京浜電気鉄道デ11形デ11→京浜電気鉄道ク11形ク11→東京急行電鉄クハ5200形クハ5201→福井鉄道モハ101→廃車
  • 京浜電気鉄道デ1形デ12→京浜電気鉄道デ11形デ12→京浜電気鉄道ク11形ク12→東京急行電鉄クハ5200形クハ5202→福井鉄道モハ102→廃車
  • 京浜電気鉄道デ1形デ13→京浜電気鉄道デ11形デ13→京浜電気鉄道ク11形ク13→東京急行電鉄クハ5200形クハ5203→福井鉄道モハ103→廃車

参考文献
  • 酒井英夫(1971):私鉄車両めぐり(90)福井鉄道(中),鉄道ピクトリアル,No.256,1971年10月,鉄道図書刊行会,PP.60-66.
  • 吉川文夫・永田義美・川喜田泉(1970):私鉄車両めぐり(85)京浜急行電鉄,鉄道ピクトリアル,No.243,1970年10月増刊,鉄道図書刊行会,PP.68-89.