官設鉄道26号形機関車は、明治8年(1875年)にイギリスのVulcan Foundry(ヴァルカン・ファウンドリー)社で4両が製造され、官設鉄道(当時は工部省鉄道寮)が輸入したテンダ式の蒸気機関車です。我が国への輸入直後は28号~31号機関車とされましたが、すぐに東部地区も含めた官設鉄道全体で東部地区の機関車を奇数番号に、西部地区の機関車を偶数番号に変更する改番が実施されて、29号が26号機関車に、31号が32号機関車となり、26号、28号、30号、32号機関車の4両となりました。ただし、明治8年当時は形式という概念が無かったようですので、ここでは便宜上「26号形蒸気機関車」としています。のちの鉄道院7030形蒸気機関車にあたる機関車です。
形態や性能は、明治6年(1873年)に輸入されたKitson(キットソン)社製の17号形機関車とほぼ同じで、やはり官設鉄道西部地区に配置されて貨物列車牽引用として使われました。輸入翌年の明治9年(1876年)には向日町駅-大阪駅間の延伸開業が予定されていたことから、そのための増備の意味合いもあったと思われます。
軸配置は「C形」。すなわち、先輪や従輪を持たず、動輪のみ3軸を有する形態です。動輪の大きさは直径1092ミリメートル、燃料となる石炭積載量は1.52トン、水タンク容量は9.99キロリットルですから、17号形機関車と同じです。
本機が明治8年に導入されてすぐに東部地区も含めた官設鉄道全体での機関車の改番が実施され、29号が26号に、31号が32号に変更されました。28号と30号は改番されず、元の番号を名乗ったままとなりました。
明治27年(1894年)に官設鉄道の機関車を形式で区分するようになった際にU形という形式を与えられ、車番も変わってそれぞれU形25号、27号、30号、29号機関車となりました。